日本共産党
横須賀市議会議員

大村洋子

おおむら ようこ
一人ひとりが花開く“横須賀”へ
大村洋子
洋子の目

横須賀市の県市協退会について再度考える

2020年11月10日

神奈川県の基地関係県市連絡協議会(県市協)のホームページをチェックしてみた。関係市は9市だったのに8市になっている。8月31日に行った一般質問の際にその前後、毎日のように見ていて9市だったものが、今日、久しぶりに見たら8市。改めて、嘆息が漏れる。

昨日、横須賀市の県市協退会について話し合う機会があり、少し時間が経った今、改めて振り返ってみようかという気になった。

市長は私の「議会に報告がないのはなぜか」との質問に「どうして報告しなければならないのか、今でもよくわからない」「そっと抜けるだけの問題で報道がこれだけ大きくしたのであって、それほど大きな問題だとは今でも思っていない」と答弁した。

しかし、これはこれ以上追及されたくないという理由からの「居直り」答弁である。

同じことを総務常任委員会で井坂なおし議員が質問すると関係理事者は「神奈川県には神奈川県のお考えがあると思いますが、横須賀市としてどうなのかと。このような内容を議会で、委員会の場で縷々御説明申し上げることはいかがなものかと真剣に考えました。市長とも相談した上で、議会への対応はかかるような形となりました。」と答弁している。

市長は「そっと抜けるだけ」「大きな問題だとは思っていない」と言うが、事務方は「真剣に考えた」「市長とも相談」と言っている。これは同じ物事に対して立場が違えば対応や解釈が違うということの見本なのかもしれないが、いずれにせよ、触れてほしくない問題ということには違いない。

県市協の設立目的についてホームページではこのようにある。

「米軍基地に関係する県内12市町(現在は8市)と県が、基地問題について県・関係市が密接な連絡を保ち、相互に協力して、その解決を図ることを目的に、昭和39年5月21日に結成されました。」

目的はいたってシンプル。米軍基地に関係している市が密接な連携、相互に協力をしましょうという当たり前の内容だ。関係する市の米軍基地へのスタンスはここでは大したことではない。まちを良くすることが首長の仕事、しかしそのまちのなかに米軍基地がある。ここは日本じゃなくてアメリカだ。日本の法律が通用しない場所がまちのなかにある。これは専管事項だ。だから国との関係が重要だ。1つのまちだけでは心もとない。同じような立場の県内の市同士、つながろうじゃないか。つながって、国へ要望をしていこうじゃないか・・・咀嚼するとこんな感じ。

それを「そっと抜ける」ってどういうことだろか。

ホームページの「最近の要望等」今年8月28日付けに「在日米軍における新型コロナウイルス感染症対策に関する特別要請」というのがある。http://www.pref.kanagawa.jp/documents/30421/d.pdf

ここでは米側のコロナ対策を検証せよ、引き続き働きかけよと言い、米側からの情報を県と市でどこまで共有してよいのか不明なので、整備せよと求めている。8市が共同で求めている。求めている先は国である。

この特別要請を読んで、今の上地市長のスタンスでは、賛同は出来ないだろうなと率直に感じた。

一般質問の中で私が「米軍基地関係者の感染者数の公表というよりも感染した米軍人・軍属の方がもしかして市内を歩いていて、何か接触があったのではないかとか、そっちの方の確認、市民への影響の確認が大事」というと市長は以下のように答弁した。

そのままを記載。

「市民のみなさんの不安というより、米軍人は市内で感染しているのです。表に出て。逆なのです。私はそれを心配しているのです。現状において、第2波と言われるところでは、完璧な隔離政策、市内において管理してたところが、日本国内でも緩んだゆえに、外出したところで、それで市内で感染しているのです。ほとんどの人たちが。そういう事実を考えたときに、ぜひ連携しながら、中で隔離してくれというお願いもしているし、14日間の監視の後のはPCR検査を2回もやる。徹底した管理、拡大阻止政策を米軍は行っているという事実をお伝えしているというふうに思っています。ですから、それ以上のことをどうして米軍側の中での心配というより、公表しなければいけない。逆に様々な憶測を与えてしまうので、それはしないほうがいいのではないかというふうに今でも思っています。」

さらに事実に基づいての答弁かと質し、結果、市長は推察という言葉を出し、休憩の後に「市内」という言葉を「基地の外」という言葉に修正した。答弁への姿勢という点で、これじたい問題だと思うが、この一連のやり取りを通じて、市長のなかに「米軍はちゃんとコロナ対策している。これ以上、何を要求しろと言うのか」との思いがあることが確認できると思う。

上地市長は今年6月4日在日米海軍司令官と横須賀基地司令官と3者でテレビ会議をしている。その中で私に答弁したような内容を直接横須賀基地司令官から説明を受けている。そして市長は2人の司令官に向かって「横須賀基地の感染者数や、各部隊における情報を公表することが、安全保障上、米軍の運用に影響を与えるおそれがあり、日本の安全保障上にとっても重要な問題であることは理解できる」と言っている。いわば、ここで2人の司令官に向かって「私は今後、米軍の感染者数の公表をせまるようなことはしない」と誓ったようなものだと私は思う。市長が本心からそう言ったのか、あるいは言わされたのかは問題ではない。こういう構図になったことが一番の問題だ。

このような段階を経て、結果、前述のような「在日米軍における新型コロナウイルス感染症対策に関する特別要請」に横須賀市は賛同できなくなってしまった。賛同できないだけではなく、県市協の枠からも外れざるをえなくなってしまった。

ところで、県市協がこの時点で「在日米軍における新型コロナウイルス感染症対策に関する特別要請」を出すに至った経緯だが、私はこれは至極真っ当なことだと思う。むしろ、このような要請をせず黙していては何のための県市協かということだ。

少し時系列で振り返ると、

7月上旬、同じように米軍基地の多い沖縄県では徐々に感染者数が増え14日以降100人に上った。4日の独立記念日前後では基地内外でパーティーが開かれたとの報道もあり、緊張感のなさに呆れた。そして沖縄の2つの米軍基地はロックダウンしたとの報道もあった。

7月11日玉城デニー沖縄県知事と在沖米軍トップのクラーディー四軍調整官が電話会談。ここで米軍は沖縄県の公表を妨げないとの立場に転じている。これは玉城知事が強く迫ったことによるものであり、背景には沖縄県民の世論がある。私はこの沖縄県知事の発言、行動、沖縄県民の運動を強く支持する。

7月14日の報道ではコロナ感染した米軍岩国基地の関係者3人が民間の航空機で移動したことが判明した。

7月21日防衛大臣が米軍の感染者公表について「地域の理解が重要だ」と発言した。

8月19日には1248人が感染したとされる原子力空母セオドア・ルーズベルトの乗組員を沖縄県と神奈川県の米軍基地に移送する計画が浮上した。最終的に感染者は米領グアムで下船した。「日本政府との関係が複雑になる」などの懸念から米は撤回したという。

8月26日時点では横須賀基地関係の感染者は39人で全国最多。

このように沖縄県の米軍基地でクラスターが発生したと言われ、100人以上に感染者が出る中で玉城知事がいち早く動いた。そして、実際に感染者を公表するようになった。米軍も沖縄県の公表を妨げないと言わざる得ない状況に追い込まれた。そして、日本政府の外務大臣も「地域の理解が重要だ」と言った。これは米軍基地のある全国の自治体の住民の不安を無視できないということだ。私はこれが一番大きなこの夏の潮流であったと思う。だから、県市協の要請は当然の要請であり、反発する側に道理はない。

しかし、県市協のこの動きに対して、市長は言う

「なぜ、県市協に入っていなければならないのかが理解できない。団体で、集団で基地全部で合わせなければいけないのか。そのこと自体、私は地域主権者ですから、よく理解できない。個別のことで国に対していろいろ申し入れをしているのに、なぜ県市協という枠組みの中でしか行動できないのかということがもともと理解できない。」

私には県市協にいながら、県市協以外でも独自に行動すればいいと思うのに、どうして退会などという極端な結論となったのか理解できない。

横須賀市として県市協は今や「桎梏」以外のなにものでもなく、県市協を退会して自由に独自に行動できると「自負」しているしその「実績」と「ツール」もあると思っているのだろう。しかし、それは「おごり」だと思う。全国の米軍基地を抱える自治体を考えれば、横須賀市の今回の行動は足並みを乱すものであり、影響力を過小評価できない。

横須賀市は日米地位協定の改定を「実現性のない要望」という。この発言は日米政府と在日米軍を嬉々とさせるに余りある。全国47都道府県知事が日米地位協定の改定を迫っている現状においてはなおさらである。

「現在保健所と米海軍病院との間で情報交換を懸命に行っているときに地位協定を改定するというのはその枠組み自体を否定することになる」という市の論法は私にはまったく理解できない。米軍になぜ、そこまで忖度しなければならないのか。

米海軍基地開放ロナルド・レーガン乗船 (47)

2015年10月12日 米海軍横須賀基地 原子力空母ロナルド・レーガン艦上にて。

撮影 大村洋子

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