一人ひとりが花開く“よこすか”へ
日本共産党横須賀市議会議員

大村洋子

おおむら ようこ

議会

自治体から厚生労働省へさらなる実態報告が厳しさを増している生活保護制度 改悪の流れを止めなければ「格差と貧困」が増々助長される

2016年9月24日
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7月、8月、9月と分館にある生活福祉課へ何回足を運んだことだろう。次から次へと生活保護がらみの相談がもちかけられ、私はご本人と一緒に窓口カウンターに座って相談の支援をしてきました。

過日、30代くらいの男性が、カウンターで大暴れして、警察官が4,5人来たことがありました。生活福祉課で大声を張り上げる人は何度か見たことがありますが、あそこまでの大暴れは初めて見ました。男性はカウンターにあるパンフレット類、それが入っていたケースを辺りにぶちまけ、カウンターのテーブルをけっぱぐって、ケースワカーに罵声を浴びせていました。乱闘になるんじゃないかと思うほどでしたが、しばらくして男性は借りてきた猫みたいにおとなしくなりました。

生活保護制度というのは、死ぬか生きるかのギリギリのところの問題です。市役所が扱う仕事は多種多様ですが、生活保護ほどシビアな市民とのやりとりはないのではないかと思います。だから、相談に来ている市民や受給者に対してはご本人の立場をしっかりと理解して、人権意識を常に持たなければならないと思います。

相談に来た市民や受給者の言い分と生活福祉課の言い分では、食い違うことがあります。それは多くの場合、生活福祉課は法に則って事務執行しているので、生活福祉課に理がある場合が多いのです。しかし、一方で人の思いや感性といった場合には、職員の方に配慮がない場合が多く見受けられます。「言ってることはその通りだ。しかし、それをそれとして言われても、合点がいかないんだ。」となるわけです。

事務執行を第一義に考えるな。相手は人生を生き抜いてきた実存者だ。その人の人生をリスペクトし、これからの人生に展望を持ってもらうため私に今、何が出来るか。私がこの10年余、自分に言い聞かせて活動してきたことです。

私にとって、生活相談は対症療法です。根治療法は政治を変えることだと思っています。根治療法を目指しながらも目の前の対症療法にも全力を尽くすことが必要です。

生活保護制度がこの数年間でズタズタにされました。憲法第25条の生存権から、明治のころの恤救規則に先祖がえりしています。施し、おめぐみに成り下がってきました。このような流れを黙ってみていてはいけないのです。そんな思いを込めて、補正予算の反対討論を行いました。以下に全文を載せます。

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日本共産党の大村洋子です。お時間をいただきまして、私は会派を代表して議案第74号一般会計補正予算に反対の立場から討論いたします。

今回私たちがこの議案に反対するのは福祉部にかかりました生活保護事業費補正予算の内容についてです。

これまでも本市は毎月、生活保護のさまざまな実態を厚生労働省に報告してきました。今回のシステム改修によって、来年4月からは高齢世帯の詳細把握、就労世帯の就労収入額の明確化、複数世帯の内訳、住宅扶助についても家賃・間代を追加し借家の種類の詳細なうちわけ、住居の状況把握では床面積と家賃扶助上限額との関係の把握等がさらに追加、変更され、多岐に渡る内容を厚生労働省の求めに応じて報告するというものです。

しかし、これらは3年余にわたり生活扶助の基準を下げ、老齢加算、冬季加算、住宅扶助を下げてきた国の横暴勝手の流れからすれば、さらなる生活保護制度の改悪を目論んでいる序章と観ることができ、到底容認することはできません。

具体的に述べます。

反対理由の1点目として、これらの追加、変更の報告業務は生活保護受給者と福祉部の業務へのメリットは希薄だということです。「床面積別の住宅扶助上限額の適用状況」の把握については、いわゆる「貧困ビジネス」との関係で、本市の受給者すべての住居環境が把握される中で、違法な住居について浮き彫りにできるという利点があると思われます。しかし、すでに本市の生活福祉課はこのような作業は点検済みだとのことです。したがって、今回のシステム改修は本市にとって、特段のメリットはないと見てよいと思われます。過日行われた教育福祉分科会の中での担当課長の「日々の業務に役に立つとは考えにくい」との答弁でも明らかです。

反対理由の2点目は厚生労働省からの調査報告指示であるにもかかわらず、システム改修費を本市が2分の1負担することになっている点です。生活保護は法定受託事務であり、本来は全額、事務執行にかかる費用は国庫支出金で賄われるのが道理というものです。自らの方針を貫徹せんがために、自治体に事務執行のみならず、財政面まで押し付ける国の上意下達のやり方に対して、「はい、わかりました」と従順に従うべきではないと思います。

反対理由の3点目は冒頭でも触れましたとおり、今回のシステム改修と調査報告は、数年前から本格化している生活保護制度のさらなる改悪の流れであることは明確です。今年3月4日におこなわれた生活保護関係全国係長会議の資料にはこの調査が「生活保護基準・制度見直しに向けた調査」とタイトルが打たれています。長きにわたり生活保護受給世帯と生活保護受給者数は増え続けてきました。

しかし、昨年の9月あたりから、生活保護受給実人員は減少し続けています。これは国民の暮らしが良くなってきているから、生活保護受給者が減っているとか人口減少によるものと短絡的にとらえることはできません。この件についてはしっかり調査・研究が必要と思われますが、私の感触では、「生活保護制度自体が厳しくなっているので、相談にいってもどうせ、申請には至らない。」生活困窮者の中にそのような気分が蔓延している感があります。

皮肉を込めて言うならば、一連の生活保護基準引き下げは、「沖合作戦」「水際作戦」を決行するまでもなく、国民・市民自らが申請抑制するということで、劇的に功を奏したと言っても過言ではないと思います。生活保護基準は憲法第25条の健康で文化的な最低限度の生活を保障する水準、これが建前です。この基準は生活保護制度のみならず、最低賃金、住民税の非課税限度額、就学援助制度など他の制度にも大きな影響を及ぼすバロメーターとなっています。

また、すべての社会保障制度の最後の安全網である生活保護制度の改悪はいわずもがな、生活保護制度に行きつくまでの他法他施策に対しても全体を抑制する役割となります。年金、失業保険、介護保険、国民健康保険等あらゆる制度が「持続可能」の名の下に変更され、国民・市民の負担増が加速していきます。生活保護制度をこれ以上改悪させないことは、すべての制度を守ることにつながります。

したがって、本市の生活保護受給者の実態把握と報告のためのシステム改修として表面化している、今回の補正予算の本質を考えますと、私たちとしては到底認めることはできません。以上で議案第74号一般会計補正予算に対する反対討論といたします。